- 2010/4/9 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
Francesco Lemma(大阪大学 理学研究科)
A norm compatible system of Galois cohomology classes for GSp(4)
In the classical case of the Riemann zeta function, the norm compatible system of cyclotomic units gives rise (via the Coleman map) to the Kubota-Leopoldt p-adic zeta function. In general, given a motive M, a conjecture of Perrin-Riou associates a p-adic L-function for M to any norm compatible system of first Galois cohomology classes in the Galois cohomology of the p-adic realization of M. We will discuss the construction of such a norm compatible system related to the rank four motives of GSp(4).
- 2010/4/16 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
澤野嘉宏(京都大学)
Trace不等式とその周辺に関して
- 2010/4/16 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
Masayoshi Miyanishi (Professor Emeritus Osaka Univ.)
Homology planes of general type and their singularities
- 2010/4/19 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
藤木 明(大阪大学大学院理学研究科)
コンパクト非ケーラー曲面上の反自己双対双エルミート構造
compact ケーラー曲面上のコンパクト複素曲面上の反自己双対エルミート計量は,
必然的にscalar 平坦なケーラー計量と共形同値であることが知られており,
有名な Calabi-Yau ケーラー計量を以降にも, LeBrun とその共同研究者達により
線織面 (ruled surface) 上に多くの例が構成された.一方, 非ケーラー曲面上では
ホップ曲面上の標準計量を除くと, LeBrun がある種のHopf 曲面のblowing up と
放物型井上曲面上に, '91 に構成した例を除いて例がまったく知られていなかった.
講演では, 上のような状況を説明したのち, 双曲型, 放物型井上曲面を含む多くの
非ケーラー曲面上に, (より強く)反自己双対双エルミート構造を構成した
Pontecorvo 氏との結果を解説する.
- 2010/4/20 低次元トポロジーセミナー 10:00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
佐藤正寿(大阪大学 理学研究科)
レベルd写像類群のアーベル化
レベルd写像類群は曲面の写像類群の指数有限正規部分群である. このアーベル
化が決定できたのでこれについて紹介する. 特にdが3以上においては, これは
レベルd構造をもつ非特異代数曲線のモジュライ空間の整係数1次ホモロジー群と
一致する.
d=2については, レベル2写像類群のアーベル化は, Torelli群上に定義された
整ホモロジー3球面のRochlin不変量を表す準同型を拡張することにより得ら
れた. 特にこの準同型について紹介したい.
- 2010/4/20 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
嶽村智子(京都大学大学院理学研究科)
時間変更された斜積拡散過程の列の収束
- 2010/4/23 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
矢野祥士(大阪大学)
A generalization of Voronoi's Theorem to algebraic Lattices
Vorono${\rm \ddot{\i}}$定理は、n×n正定値実対称行列上に定義される Hermite invariant が極大となる点の条件を与える。
セミナーではこの定理と同様の定理が代数体上でも成立することを示す。
また極大となる点が、相似なものを除けば有限個であることを示す。
- 2010/4/23 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
愛木豊彦(岐阜大学)
1次元コンクリートの中性化問題における自由境界の挙動について
B\"ohm教授,Muntean教授によって提案された1次元コンクリート中性化問題に関する最近の結果について報告する。コンクリート建造物は長時間大気にさらされることにより,空気中に含まれる二酸化炭素とコンクリート中の水酸化カルシウムが反応し,アルカリ性から中性に変化する。この結果,コンクリート内にある鉄骨が錆びやすくなり,建物としての強度が下がる。この現象は,中性化現象あるいは炭酸化現象と呼ばれ,土木工学における研究課題の一つである。特に,中性化の速度に対する評価は重要である。本講演では,中性化速度に対する実験則と数理モデルから得られる結果との関連を中心に説明する。
- 2010/4/26 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
中田文憲(東京理科大学 理工学部)
波動方程式と LeBrun-Mason 対応
LeBrun-Mason 対応とよばれる新しいタイプのツイスター対応の研究が進展しているが, 最近, Tod-鎌田計量という不定値自己双対計量に関するこの種の対応が確立された. さらに, この結果における副産物として, 三次元ドジッター空間上の波動方程式やモノポール方程式の解を積分変換で記述する, という結果が得られ, これらはツイスター理論を離れても議論できる内容となっている.
本講演では, この「副産物」の部分に関してできるだけ詳細な説明をおこない, また, LeBrun-Mason 理論のとの関連について概略を述べる.
- 2010/4/27 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
須崎 清剛(大阪大学 理学研究科)
写像トーラス上の各葉ブラウン運動に関する調和測度
- 2010/4/27 低次元トポロジーセミナー 10:00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
宮地秀樹(大阪大学 理学研究科)
Gardinar-Masur境界内の一意的エルゴード的な境界点について
Gardinar-Masur境界とは,標識付きリーマン面の退化に伴う単純閉曲線の
極値的長さの振る舞いにより定義されるタイヒミュラー空間の境界である.
Gardinar-Masur境界は射影的測度付き測地線層の全体を部分集合として
(一般には真に)含むことが知られている.
本講演では,Gardinar-Masur境界内に一意的エルゴード的な境界点を定義し,
その全体が一意的エルゴード的測地線層の射影類の全体と一致する事を報告する.
この系として,Thurstonコンパクト化においてタイヒミュラー空間内の
点列が一意的エルゴード的な測度付き測地線層の射影類に収束するときの,
極値的長さの振る舞いが計算できる事を報告する.
- 2010/5/7 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
佐藤周友(名古屋大学)
p進体上の多様体のチャウ群
数体上の多様体のチャウ群は数論において基本的な研究対象であり、これを調べる道具としてエタールコホモロジーへのサイクル写像などがある。数体上の多様体のサイクル写像の研究は1980年代から始まったものであるが、本講演では、p進整数環上のスキームの(高次)サイクル写像を調べるという近年の新しい手法によって、p進体上の多様体のチャウ群の研究がどのように進歩したかを解説したい。
- 2010/5/7 微分方程式セミナー 17:00--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
白井 慎一 氏 (大阪工業大学)
急峻な磁場井戸をもつ非線型シュレーディンガー方程式の多重解
簡単な非線型項と有界な磁場をもつ(定常)非線型シュレーディンガー方程式
の解の多重性について考える。特殊な場合にしか結果が得られていないが、
有界な零集合をもつ磁場井戸の深さパラメータを大きくしていくとき、
いくらでも多くの非自明解が存在することを解説する。
また、そのときの解の挙動についても考察する。
- 2010/5/7 微分方程式セミナー 15:30--16:30 数学教室 大セミナー室(E301)
Michael Ruzhansky 氏(Imperial College London)
Global hypoellipticity and pseudo-differential operators
In this talk we will discuss pseudo-differential operators on
Lie groups and main properties of their global quantization.
As an application, we give a criteria for the global hypoellipticity,
and give several applications for differential operators on the
3-sphere.
- 2010/5/11 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
徳永 裕介(大阪大学 理学研究科)
n次元トーラス上のC^1級拡大写像のリアプノフ最適化測度について
- 2010/5/14 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
Nobukatsu Hayashi(Osaka Univ.)
Variational Torelli for surfaces of general type with geometric genus two
- 2010/5/14 代数幾何・複素幾何セミナー 16:20--17:50 理学部 b棟 b342/346
Shu Kawaguchi (Osaka Univ.)
有理写像を反復合成したときの次数の増大度(Favre--Diller, Bouckson--Favre--Jo nssonなどの論文紹介)I
- 2010/5/14 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
寺澤 祐高 氏(東大数理)
変数粘性係数ストークス方程式の最大正則性について
粉粒体や二層流体の運動を記述する準線形放物型方程式の時間局所可解性を
線形化の手法で示す際には, ストークス方程式の粘性係数を変数係数に
一般化した, 変数粘性係数ストークス方程式の最大正則性が重要な道具になる.
本講演では, 最大正則性とは何かということを説明し, その証明のために,
変数粘性係数ストークス方程式を作用素論的に取り扱うことを考える.
具体的にはストークス作用素の拡張である, 変数粘性係数ストークス作用素を
定義し, そのH^{\infty}演算を示すことによって最大正則性を導く.
H^{\infty}演算の証明のためには, Boutet de Monvel, Grubb, Abelsによる
擬微分作用素演算を用いる. ストークス作用素を表す擬微分作用素の表象と
変数粘性係数ストークス作用素の表象の間にスケーリングによる
関連があることが証明の鍵になる. 本講演はHelmut Abelsとの共同研究に基づく.
- 2010/5/21 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
Trinh Khanh Duy(大阪大学 理学研究科)
On the distribution of *k*-th power free integers
A positive integrer is called *k*-th power free if it is
divisible by no * k *-th power of any prime number. This talk will focus on estimating the convergence rate of the density of *k*-th power free
integers. The method taken here is the adelic compactification. More
precisely, we extend the indicator function of the set of *k*-th power free integers to a random variable on the ring of finite integral adeles, and we use some
techniques in probability theory to approach this problem. As the result, we obtain an estimate for the mean square convergence rate of the density of *k*-th power free integers.
- 2010/5/21 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
Yi Wang 氏(Chinese Academy of Sciences)
Stability of Rarefaction Waves to the 1D Compressible Navier-Stokes Equations with Density-dependent Viscosity
We study the asymptotic stability of rarefaction waves for the compressible isentropic Navier-Stokes equations with density-dependent viscosity. First, a weak solution around a rarefaction wave to the Cauchy problem is constructed by
approximating the system and regularizing the initial values which may
contain vacuum states. Then some global in time estimates on the weak
solution are obtained. Based on these uniform estimates, the vacuum
states are shown to vanish in finite time and the weak solution we
constructed becomes a unique strong one. Consequently, the stability of the rarefaction wave is proved in a weak sense. The theory holds for large-amplitudes rarefaction waves and arbitrary initial perturbations.
- 2010/5/25 トポロジーセミナー 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
森島 北斗(大阪大学 理学研究科)
有限生成群の擬等長による分類と単位元を持つ環の森田同値との関連について
kを単位的な可換環とする。有限生成群Gについてl^f(G, k)をG上のk値な写像で像が有限なもの全体がなす環とし、Gの自然なl^f(G, k)への作用による斜群環R(G, k)を考える。このとき、擬等長な有限生成群AとBに対して、R(A, k)とR(B, k)が森田同値になることをelementaryに証明した。本講演ではこの定理に至る幾何学的背景とその証明の概略について述べたい。
- 2010/5/25 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
Trinh Khanh Duy(大阪大学 理学研究科)
On the distribution of $k$-th power free integers
- 2010/5/28 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
三井健太郎(Kyoto Univ.)
Classification of rigid analytic surfaces
- 2010/5/28 代数幾何・複素幾何セミナー 16:20--17:50 理学部 b棟 b342/346
Shu Kawaguchi(Osaka Univ.)
有理写像を反復合成したときの次数の増大度(Favre--Diller, Bouckson--Favre--Jo nssonなどの論文紹介)II
- 2010/5/28 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
高山正宏 氏 (慶應大理工)(慶應大理工)
紐の運動に現れる退化双曲型方程式の初期境界値問題
紐の運動を記述する方程式の導出を行い、関連する結果を紹介する。
また講演では、紐の運動に現れる退化双曲型方程式の初期境界値問題
について考察する。
特に、解の滑らかさを中心としてお話する。
- 2010/5/31 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
Jeff Viaclovsky(University of Wisconsin - Madison)
Yamabe invariants and limits of self-dual hyperbolic monopole metrics
Consider the self-dual conformal classes on n # CP^2 discovered by
LeBrun. These depend upon a choice of n points in hyperbolic 3-space, called monopole points. I will discuss the limiting behavior of various constant scalar curvature metrics in these conformal classes as the points approach each other, or as the points tend to the boundary of hyperbolic space. There is a close connection to the orbifold Yamabe problem (which I will show is not always solvable, in contrast with the case for compact manifolds).
- 2010/6/4 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
高野啓児(明石工業高専)
Cuspidality and square integrability of representations
- 2010/6/4 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
冨田 直人 氏(大阪大学 理学研究科)
双線形フーリエマルチプライヤーが 有界作用素になるための微分回数について
- 2010/6/7 幾何セミナー 13:00--14:30 理学部 b棟 b342/346
本田淳史(東京工業大学)
双曲平面の双曲空間への等長はめ込みについて
負の空間型の間の等長はめ込みの多くは未だ解明されていません.この講演では,双曲平面から双曲空間への等長はめ込みと測地線の空間の null 曲線との関係を紹介します.そして,この観点からの等長はめ込みの分類問題へのアプローチを説明します.
- 2010/6/7 幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
直川耕祐(大阪大学 理学研究科)
可展的なメビウスの帯の漸近的完備化に現れる特異点について
- 2010/6/7 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
井口達雄(慶應大理工)
水の波の数学解析
大気と水とが接する水面の運動である水の波は,
重力場内の非圧縮性非粘性流体の渦なし流に対する自由境界問題として数学的に定式化される.
その水の波の基礎方程式系に対する初期値問題の適切性を示す際,
また水の波の浅水波近似を数学的に厳密に正当化する際,
何が問題になり,それがどのように克服されるのかを紹介したい.
- 2010/6/11 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
井口達雄 氏(慶應大理工)
A mathematical analysis of tsunami generation in shallow water due to seabed deformation
In numerical simulation of tsunamis due to submarine earthquakes,
one usually uses the shallow water equations by assuming that
the initial displacement of water surface is equal to the
permanent deformation of seabed and that there is no initial
velocity field.
In this talk, starting from the full water wave problem (a free
boundary problem for an irrotational flow of an incompressible
ideal fluid under the gravitational field) we derive
mathematically rigorously the shallow water model mentioned
above, that is, we will show that the solution of the full water
wave problem can be approximated by the solution of the shallow
water model in some limits of parameters. Moreover, we report
that in some case we have to take some initial velocity field,
which arises as a nonlinear effect, into account as initial data.
- 2010/6/11 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
Steven Zucker (Johns Hopkins Univ.)
Lowest weights
- 2010/6/14 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
杉原 厚吉(明治大学 研究・知財戦略機構)
誤差が発生しても正常に動作する「超ロバスト幾何計算」の原理
幾何計算は、数値誤差に弱い。その理由は、誤差のために対象の位相的
構造を誤って判定すると、ユークリッド空間では起こり得ない状況に陥り、
それが、理論的に正しいはずのアルゴリズムにとって致命傷となって、
破綻してしまうからである。
この困難を克服するために、「誤差があっても正常に動作する」
アルゴリズムの設計法を開発した。この概念は、自己矛盾している
ように感じられるかもしれない。しかし、現実のコンピュータで安定して
動くアルゴリズムを追求したとき自然にほしくなるものであり、「正常」
という概念を見直すことによって、実際にそれを手に入れることが
可能である。この方法で設計したアルゴリズムは、どれほど低い精度
で計算を行っても決して破綻しないという意味で「超ロバスト」な安定性
が保証されるものとなる。このアルゴリズム設計法の考え方を、
勢力圏図の計算などを例にとって紹介する。
- 2010/6/18 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
赤木 剛朗 氏(芝浦工大)
fast diffusion 方程式の解の漸近形の安定性解析
- 2010/6/18 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
金沢篤(東大数理)
パフィアン・カラビ・ヤウ多様体とミラー対称性について
- 2010/6/18 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
尾崎学(近畿大学)
代数体に於けるWeil pairingの類似について
Jacobi多様体の等分点上のWeil pairingの類似として、代数体のイデアル類群上に、相互写像とイデアルの単項化を用いて自然なpairingが定義される。このpairingはWeil pairingとは異なり、値は単数群のあるコホモロジー群にとり、対称であり、一般に非退化とは限らない。セミナーでは、このparingと代数体の最大不分岐meta-abel拡大のガロワ群との関係、そして幾つかの問題について触れる。
- 2010/6/18 代数幾何・複素幾何セミナー 16:20--17:50 理学部 b棟 b342/346
Ikuo Satake(大阪大学 理学研究科)
C. McMullen:Coxeter groups, Salem numbers and the Hilbert metric の 論文紹介
- 2010/6/21 幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
川上 裕(九州大学大学院数理学研究院)
波面におけるガウス写像の値分布とその応用
曲面のガウス写像の像の様相を調べることは,曲面の大域的性質を調べる上で非常に有用である.そのことは,波面と呼ばれるある種の特異点を許容するクラスに拡張しても同様である.
本講演では,九大数理の中條大介氏との共同研究によって得られた,実3次元双曲型空間内の(弱)完備な平坦波面および実3次元アファイン空間内の(弱)完備な非固有アファイン波面でのガウス写像の除外値数の最良の評価式とその応用として得られた完備性をもつ曲面の一意化定理の幾何学的に見通しのよい新しい証明について紹介する.
- 2010/6/22 トポロジーセミナー 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
高尾 和人(大阪大学 理学研究科)
Moves on the Rubinstein-Scharlemann graphic
H. Rubinstein と M. Scharlemann によって導入された"graphic"はヒーガード分解を調べる強力な道具であり, この分野の近年の進展を語るうえで今や欠くことのできない存在となっている. しかしその効力を最大限に引き出すためには graphic の変形理論の整備が強く望まれる. 本講演では graphic を用いたこれまでの研究の結果を紹介するとともに, 一般化した graphic の変形に関する現在の研究について報告したい.
- 2010/6/25 代数幾何・複素幾何セミナー 16:30--18:00 理学部 b棟 b342/346いつもと時間が異なることにご注意ください
Yongnam Lee(Sogang U./KIAS/RIMS)
Algebraic surfaces of general type with vanishing geometric genus
- 2010/6/25 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
松山 登喜夫 氏(東海大)
Dispersion for 3D wave equation with a potential in an exterior domain
本講演では、星型の障害物の外部領域において short-range type の
ポテンシャルをもつ波動方程式の外部問題に対する dispersive estimates を紹介する。各点での減衰評価を導出するにあたり、propagator のスペクトル表現を用いる。
基本的な道具は、摂動された resolvent の free resolvent による表現公式及び resolvent に対する weighted $L^2$-$L^1$, $L^2$-$L^2$, $L^2$-$L^\infty$評価式である。$TT^*$ method により Strichartz estimate も示される。
- 2010/6/28 幾何セミナー 1:00--2:30 b342/346
石田政司(上智大学)
Anti-self-dual metrics, Yamabe constant, and connected sumsof symplectic 4-manifolds
山辺定数が正およびゼロの反自己双対多様体の構造については,
多くのことが理解されています. しかし, 負の場合はその構造について,
具体的にはほとんど何も理解されていません.
本講演では, 負の山辺定数を持つ反自己双対多様体について
最近考察したことを報告させて頂きます. 特に, ある単純な位相的制限の下,
シンプレクティック4次元多様体の連結和に反自己双対計量が存在すれば, その
山辺定数はその多様体の位相構造にのみ依存する負の定数で上から押さえられることを
お話する予定です.
- 2010/6/29 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
山崎和俊(大阪大学金融・保険教育研究センター)
On Scale Functions of Spectrally Negative Levy Processes with Phase-type Jumps (江上雅彦氏との共同研究)
We study the scale function for the class of spectrally negative L└vy
processes with phase-type
jumps. We consider both the compound Poisson case and the unbounded
variation case with diffusion
components, and obtain the corresponding scale functions explicitly.
Motivated by the fact that the class
of phase-type distributions is dense in the class of all
positive-valued distributions, we propose a new approach
to approximating the scale function for a general spectrally negative
L└vy process. We illustrate,
in numerical examples, its effectiveness by obtaining the scale
functions for L└vy processes with long-tail
distributed jumps.
- 2010/7/2 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
高橋 太 氏(大阪市大)
凸領域上の多重バブル解の非存在について
リウビル方程式や臨界ソボレフ型方程式など、臨界型変分構造に付随する多くの半線形楕円型境界値問題には、領域内の複数点で爆発・凝集現象を起こす、非コンパクトな解の族の存在が知られている。既存の結果では、このような「多重バブル解」の漸近挙動や爆発点の位置決めの機構、およびその構成などの解析が行われてきた。
この講演では、領域が幾何学的にもっとも単純な凸領域の場合には、そのような多重爆発・多重凝集解が存在しないことを示す。凸領域でのロバン関数の狭義凸性がキーポイントとなる。
- 2010/7/2 代数幾何・複素幾何セミナー 14:20--17:50 理学部 b棟 b342/346
Ikuo Satake(Osaka univ.)
C. McMullen:Coxeter groups, Salem numbers and the Hilbert metric の 論文紹介II
- 2010/7/2 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
高井勇輝 (名古屋大学)
mod $\ell$ Galois 表現の同型性の効果的判定法
一般に, 与えられた二つの mod $\ell$ Galois 表現
が同型であるかの判定は簡単ではない.
2次元で奇, 既約 mod $\ell$ Galois 表現の仮定の下で
同型性の効果的な判定法を得たので, それを紹介する.
この結果の証明には Serre 予想 (Khare-Wintenberger の定理) と
Sturm の定理の Kohnen による一般化を使う.
- 2010/7/12 幾何セミナー 1:00--2:30 理学部 b棟 b342/346
服部広大(東大数理)
A_∞型超ケーラー多様体の体積増大度
非コンパクトなリーマン多様体上のある一点を固定し、その点を中心とする半径rの測地球の体積V(r)の漸近挙動を調べることで、そのリーマン多様体の広がり具合がわかる。この関数V(r)の発散のオーダーを体積増大度と呼ぶ。
実n次元の完備リッチ平坦多様体で、体積増大度がr^k(kは1以上n以下の整数)のオーダーで発散する例は多く知られているが、それ以外の体積増大度をもつ完備リッチ平坦多様体の例はまだほとんど知られていない。
本講演では、Anderson-Kronheimer-LeBrunと後藤によって構成された、実4次元完備リッチ平坦多様体であるA_∞型超ケーラー多様体の中で、V(r)がr^aのオーダーで発散するものが、各3<a<4に対して存在することについて話す。
- 2010/7/13 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
矢野孝次(神戸大理)
道路着色に従う有向グラフ上のランダムウォーク
- 2010/7/16 代数幾何・複素幾何セミナー 16:20--17:50 理学部 b棟 b342/346
角 大輝(Osaka Univ.)
力学系のエントロピーについて
- 2010/7/16 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
三浦真人(Tokyo Univ.)
Grassmann多様体のトーリック退化とミラー対称性
- 2010/7/16 微分方程式セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
米田 剛 氏(ミネソタ大)
Ill-posedness of the 3D-Navier-Stokes equations
3D-Navier-Stokes方程式の非適切性について考える。
ここでの非適切性とはアダマールの意味での適切性の条件を
一つでも満たさない場合をいう。
Koch-Tataruは2001年にBMO^{−1}という関数空間でNS方程式の
局所適切性を示した。
BMO^{-1}は、それまで局所適切性が扱われてきた関数空間の中で
最大のものである。
その後多くの研究者によってBMO^{-1}よりも大きな関数空間での
局所適切性の証明が挑戦されてきたが、2008年Bourgain-Pavlovicは
BMO^{-1}よりも大きな或るベゾフ空間では非適切となることを示した。
しかしながらそれでもBMO^{-1}とそのベゾフ空間との間にはギャップ
が存在する。
本講演においては「BMO^{−1}近くまで非適切なのか、それともその
ベゾフ空間に近いところまで局所適切なのか」を考えたい。
- 2010/7/16 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
橋本康史(九州先端科学技術研究所)
不定値二元二次形式の類数和に関する漸近公式
不定値二元二次形式の同値類とモジュラー群の
素な双曲類との間には1対1対応があることが知られており、
これを用いると、モジュラー群に関する素測地線定理から、
類数和に関する漸近公式が得られる。本講演では、チェボタレフ
型素測地線定理を用いて、類数の部分和に関する漸近公式
を得たので、その結果とアプローチの仕方について報告する。
- 2010/7/20 幾何セミナー 3:30--5:00 理学部 b棟 b342/346
Liviu Ornea(University of Bucharest)
On the topology of locally conformally Kaehler manifolds
I shall give a brief introduction in LCK geometry and present several
results (obtained jointly with Misha Verbitsky) about the topology of
those LCK manifolds which admit a Kaehler covering with an automorphic
potential (this class includes all Vaisman manifolds).
- 2010/7/21 代数幾何・複素幾何セミナー 16:20--17:50 未定
Ed Segal(Imperial)
TBA
- 2010/7/23 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
Sanpei Usui(Osaka univ.)
Neron models in log mixed Hodge theory by weak fans (joint work of K. Kato, C. Nakayama, and S. Usui).
We give a method to construct Neron models of intermediate Jacobians
over higher dimensional base by means of log mixed Hodge theory.
This becomes possible by generalizing fans to weak fans.
- 2010/7/26 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
濱名 裕治(熊本大学大学院自然科学研究科)
Wiener sausage の漸近挙動について
球をブラウン運動の道に沿って動かしたときにできる図形を Wiener
sausage とよびますが,その図形の体積は,熱伝導やランダムポテン
シャル等との関連で,以前から研究されてきました.その中でも,極限
定理や期待値の漸近展開といった,時間が大きくなるときの漸近挙動に
ついてお話しする予定です.
- 2010/7/27 トポロジーセミナー 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
福本 善洋(立命館大理工)
Bounding genusと3次元多様体の同境圏について
- 2010/7/27 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
濱名 裕治(熊本大学大学院自然科学研究科)
ベッセル過程の到達時刻の漸近挙動について
- 2010/7/30 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
角 大輝(Osaka Univ.)
力学系のエントロピーについて2
- 2010/7/30 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
謝銘倫(Ming-Lun Hsieh)( National Taiwan University)
On the $\mu$-invariant of anticyclotomic p-adic L-functions for CM fields
Let $\lambda$ be a self-dual Hecke character of a CM field $K$. If $K$ is an imaginary quadratic field, Finis determined an exact formula of the anticyclotomic Katz p-adic L-function attached to $\lambda$ in terms of some local invariatnts of $\lambda$. We generalize this formula to general CM fields in many cases. The proof is different from Finis' and is based on several ideas of Hida and a new input from local theta dichotomy for (U(1),U(1)) .
- 2010/7/30 整数論保型形式セミナー 16:00--17:00 数学教室 新セミナー室(D505)
謝銘倫(Ming-Lun Hsieh)( National Taiwan University)
On the $\mu$-invariant of anticyclotomic p-adic L-functions for CM fields
Let $\lambda$ be a self-dual Hecke character of a CM field $K$. If $K$ is an imaginary quadratic field, Finis determined an exact formula of the anticyclotomic Katz p-adic L-function attached to $\lambda$ in terms of some local invariatnts of $\lambda$. We generalize this formula to general CM fields in many cases. The proof is different from Finis' and is based on several ideas of Hida and a new input from local theta dichotomy for (U(1),U(1)) .
- 2010/10/1 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
志甫淳氏(東大数理)
Purity for overconvergence
Crewにより構成された正標数のsmoothな代数多様体Xの基本群のp進
表現の圏とX上のunit-root convergent F-isocrystalの圏との圏同値は,
Xが曲線の場合にはXの基本群の有限な局所 monodromyを持つp進表現の圏
とX上のunit-root overconvergent F-isocrystalの圏との圏同値を導くこ
とが都築氏により証明されている.本講演では上記の都築氏の結果の高次
元の場合への拡張を紹介する.証明にはoverconvergent F-isocrystalの
圏に対する新しい形の純性定理が必要となる.
- 2010/10/8 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
眞崎聡氏(学習院大理)
負の指数を持つHartree方程式の解析
負の指数を持つHartree方程式を考察する。これは低次元
Schrodinger-Poisson方程式系をポテンシャルの増大速度
と次元に関して一般化したモデルであり、空間遠方で
多項式オーダーで発散する非線型項を持つ。エネルギークラス
での大域可解性について紹介したい。
このような非線型項は内部に線型ポテンシャルを含んでおり、
その影響を考慮することがポイントである。
- 2010/10/15 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
市原由美子(奈良女子大)
old form の空間の基底と保型 L 関数の central point における零の位数について
重さ 2 の cusp form に付随する保型 L 関数の関数等式の折り返しの
点
(central point) における零の位数は、その cusp form に対応する楕円曲線の
有理点の群のランクと一致することが予想されている。これまで、一般の重さの
cusp form に付随する保型 L 関数に対して central point における零の位数が
研究されてきた。しかし、問題を cusp form でなく primitive form で考える
と、多くの研究はレベルが素数の場合や square-free の primitive form を扱
うに止まっている。本講演ではレベルが素数冪の場合についてお話したい。
- 2010/10/15 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
吉田夏海 氏(阪大情報)
部分的に線形退化する流束を持つ単独粘性保存則に対する初期値問題の時間大域解の漸近挙動
単独の粘性保存則の方程式の解の漸近挙動に関してはこれまで
色々な結果が存在する。解の挙動に関しては対応する双曲型保存則の
Riemann問題によって特徴付けられることが良く知られており、
流束函数の凸性が部分的に崩れる場合に対してもRiemann解の様子
から複数の波の重ね合わせへの漸近が予測されるが、特にCauchy問題に
対しては今まで複数の波が重なり合わさる場合の漸近形に対する結果
は存在しなかった。
本講演では熱方程式の自己相似解と非粘性保存則のRiemann問題の
大域的弱解である希薄波解との重ね合わせへの漸近に関する結果が
得られたのでそれを紹介したい。証明は時間局所解の一意的存在と
先験的評価とを組み合わせて為されるが取り分け重要な役割を
果たす先験的評価はエネルギー法を用いることで得られる。
- 2010/10/15 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
権業 善範(Tokyo.univ.)
数値的小平次元0の極小モデル理論 (Minimal model theory of numerical Kodaira dimension zero)
講演要旨:In this talk, we prove the existence of minimal models of numerical Kodaira dimension $0$ after we review a log minimal model
program with scaling, works of Birkar--Cascini--Hacon--M^cKernan and
the numerical Zariski decomposition after Nakayama. Moreover we also give a new proof of the abundance theorem for log canonical pairs in the case of numerical Kodaira dimension $0$ proved by Kawamata.
- 2010/10/26 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
村山太郎 (金沢大学大学院自然科学研究科)
Bohr-Jessenの極限定理の極限分布の $\sigma \searrow 1/2$ のときの挙動
- 2010/10/26 トポロジーセミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
安部 哲哉(阪市大数学研)
ラスムッセン不変量について
ラスムッセン不変量は、(図式に付随する)リー複体のサイクルを用いて定義される結び目不変量である。この講演では、ラスムッセン不変量の背景を復習した後、ラスムッセン不変量を評価、または決定する方法について述べる。時間があれば、タイプ(3,-5,-7)のプレツェル結び目のラスムッセン不変量の計算について述べる。
- 2010/10/29 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
林田秀一(大阪大学 International college)
2つの楕円保型形式から次数2重さ半整数のジーゲル保型形式へのリフティング
表題のリフティングが伊吹山教授と講演者の共同研究により予想されていた。
2つの保型形式からジーゲル保型形式へのリフティングには、吉田リフト、
宮脇リフトなどが知られているが、表題のリフティングはリフト先の
ジーゲル保型形式の重さが半整数という点に特徴がある。また次数2の
プラス空間へのリフティングであるので、リフト先がニューフォームに相当する。
このリフティング予想を部分的に解決することができたので、お話したい。
- 2010/10/29 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
和田出秀光氏(大阪市大理)
The existence of positive solutions to the semilinear elliptic equation involving the Sobolev-Hardy critical terms
In this talk, we consider the existence of positive solutions
to the semilinear elliptic equation involving Sobolev-Hardy
critical terms. In particular, we investigate the equation
having two different kinds of non-compact terms, that is,
the Sobolev critical term and the Sobolev-Hardy critical term.
Of course, the corresponding energy functional can not satisfy
the Palais-Smale condition in general. However, we will show
that there exists a threshold number such that if the min-max
value can be taken strictly smaller than it, the min-max value
becomes a critical value with a suitable bounded domain.
More precisely, it turns out that the threshold number can be
characterized by a least-energy positive solution on a half space.
- 2010/11/1 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
植田一石(大阪大学 理学研究科)
ダイマー模型に付随するLefschetzファイブレーション
トーラス上の2部グラフで適当な条件をみたすものはダイマー模型と呼ばれ、
統計力学的な模型として古くから興味を持たれていたが、
3次元のトーリックCalabi-Yau多様体の幾何との関連から近年新たに注目されるようになった。
今回はダイマー模型から完全シンプレクティックLefschetzファイブレーションを作ることによって、
Kontsevichのホモロジー的ミラー予想のあるバージョンが
2次元のトーリックFanoスタックに対して証明されることを
石井亮氏及び二木昌宏氏との共同研究に沿って紹介したい。
- 2010/11/2 低次元トポロジーセミナー 10:00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
高尾 和人(大阪大学 理学研究科)
3橋絡み目のヘンペル距離
ヘンペル距離とは3次元多様体のヒーガード分解や絡み目の橋分解に対して定義される不変量であるが、与えられた分解の距離を求めること、特に下から評価することは一般には難しい。本講演では、絡み目の2橋分解や (1,1)-橋分解の場合の先行研究を紹介したうえで、与えられた3橋分解の距離が2以上のときにそれを証明する1つの方法を提案する。
- 2010/11/5 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
D. Popovici(Universite de Toulouse III (Paul Sabatier) Laboratoire de Math. Emil Picard, France)
Limits of Moishezon Manifolds under Holomorphic Deformations
Abstract : We prove that if all the fibres, except one, of a holomorphic family of compact complex manifolds are supposed to be Moishezon (i.e.bimeromorphic to projective manifolds), then the remaining (limit) fibre is again Moishezon. The two ingredients of the proof are the relative Barlet space of divisors contained in the fibres for which we show properness over the base of the family and the "strongly Gauduchon"(sG) metrics that we have introduced for the purpose of controllingvolumes of cycles. These new metrics enjoy stability properties under both deformations and modifications and play a crucial role in obtaining a uniform control on volumes of relative divisors that prove the above-mentioned properness.
- 2010/11/12 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
小林真一 (東北大学)
超特異素点におけるp進Gross-Zagier公式
p進Gross-Zagier公式は楕円曲線のp進L関数の微分値をHeegner点のp進高さで記述する公式である. 楕円曲線がpで通常還元をもつときは, 20年以上前にPerrin-Riouによって証明されていた. 最近、pで超特異還元をもつときにも証明できたのでそれを紹介します. 階数のみならずleading termの係数を記述する強いBirch and Swinnerton-Dyer予想への応用も紹介します.
- 2010/11/12 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
中島徹(日本女子大理 )
Calabi-Yau manifolds in projective bundles and Donaldson-Thomas invariants
Abstract:
Donaldson-Thomas invariants are defined by the moduli space of
Gieseker semistable sheaves on Calabi-Yau threefolds.
Following a recent work of W-P.Li and Z.Qin, we give a description of
the moduli space of rank two semistable sheaves on
hypersurfaces of a projective bundle over a curve by means of
Grothendieck’s Quot schemes. As an application, we compute
the Donaldson-Thomas invariants of certain Calabi-Yau threefolds
- 2010/11/12 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
筧 知之 氏(岡山大学理学部・自然科学研究科)
Some remarks on L2 well-posedness for Schroedinger type equations
リーマン多様体上のシュレディンガー型方程式のL2適切性については
一之瀬弥氏により必要条件が与えられており、トーラスの場合に
限定すれば、千原浩之氏により必要十分条件が与えられている。
本講演では、球面の場合について考察する。そして、両者の結果に
関連するささやかな注意を与えたい。
- 2010/11/15 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
梅原雅顕(大阪大学 理学研究科)
3次元球面の平坦トーラスの直径について(Extrinsic diameter of immersed flat tori in S^3)
- 2010/11/19 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
白河憲一郎(Osaka univ.)
1パラメータのカラビ-ヤウ多様体の族の例に対する弱大域トレリの定理
- 2010/11/26 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
山下剛(豊田中央研究所)
開多様体のp進Hodge理論
混標数の完備離散附値環で剰余体が完全なものを考える。その上の固有準安定モデルに対して、幾何的生成ファイバーのp進エタール・コホモロジーと特殊ファイバーの対数的クリスタリン・コホモロジーとを比較する辻により解決されたFontaine-Jannsenの準安定予想は p進Hodge理論の最も深い定理である。本講演では、その開多様体への拡張を紹介する。
- 2010/11/26 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
山崎 満 氏(国際基督教大)
Entropy solutions of the Euler equation with initial data including the vacuum state
We investigate the initial-value problem for the relativistic
Euler equations of isothermal perfect fluids, and generalize an existence result due to LeFloch and Shelukhin for the non-relativistic setting. We establish the existence of globally defined, bounded measurable, entropy solutions with arbitrary
large amplitude. An earlier result by Smoller and Temple covered solutions with bounded variation that avoid the vacuum state.
Our new framework provides solutions in a larger function space
and allows for the mass density to vanish and the velocity field to
approach the light speed. The relativistic Euler equations become strongly degenerate in both regimes, as the conservative or the flux
variables vanish or blow-up. Our proof is based on the method of
compensated compactness and takes advantage of a scaling invariance property of the Euler equations.
- 2010/11/29 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
都築正男(上智大学大学院理工研究科)
GL(2)の保型的L函数の中心特殊値に対する平均分布
固定した重さとレベルを持つ正則保型形式の空間
の正規直交基底にわたるL函数とその2次指標捻りの積の中心特殊
値の平均値を、無限大に増大するレベルの列に沿って漸近的に記述
する公式が知られている。この公式を保型形式の空間におけるラプ
ラス作用素やヘッケ作用素のスペクトルの空間上の適切な測度の収束
としてとらえることで、マース形式に対する類似公式をしめす。
総実代数体への拡張についても述べたい。
- 2010/11/30 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
角 大輝(大阪大学 理学研究科)
ランダムな複素力学系における協調原理、安定性と分岐
- 2010/12/3 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
渡邉健太(Osaka Univ.)
楕円曲線を自由クリフォード因子にもつ偏極 K3 曲面について
- 2010/12/3 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
西谷 達雄 氏(大阪大学 理学研究科)
摂動された波動方程式の解のエネルギー増大について
エネルギーが指数増大するような解を有す,空間的にコンパクトに
摂動された波動方程式の例を与える.この例は本質的には Colombini
と Rauch (2008) で与えられたものであるが,そこでの証明の不備を
補うことによって結果も少し一般化される.証明は RauchとTaylor
(1975)の古典的な方法に従う.(上田秀雄氏との共同研究)
- 2010/12/3 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
並川健一(大阪大学 理学研究科)
Adjoint L関数の特殊値と保型形式の合同について
楕円保型形式のAdjoint L関数の特殊値と合同素数との関係の研究は, 肥田や土井らによってはじめられ,その総実体上への拡張が, Ghate, Dimitrov, 虚二次体への拡張がUrbanによって得られている. 本講演では, これらの結果の一般の代数体上のGL(2)への拡張を論じる.
- 2010/12/6 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
Nobuhiro Honda(東北大学)
Geometry of generic Moishezon twistor spaces on 4CP^2
1992年の論文で Y.S.Poon は 3CP^2 上の generic なツイスター空間が
CP^3の特殊な形の4次曲面で分岐する2重被覆の構造をもつことを示しました。
この講演ではこのツイスター空間が4CP^2の場合に一般化でき、さらにそれらが
4CP^2上の代数的なツイスター空間の中ではgenericなものであることをお話しします。
論文は arXiv:1009.3153 にあります。
- 2010/12/6 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
本多宣博(東北大学大学院理学研究科)
Moishezonツイスター空間について
ツイスター空間は4次元リーマン幾何学に由来する、特殊な構造を
もった3次元複素多様体である。
ほとんどのコンパクトツイスター空間は射影代数的にならないこと
が知られているが、射影代数多様体と双有理同値(すなわちMoishezon)
なツイスター空間は多くの具体例が知られている。
本講演では背景となる微分幾何的な事項の説明から始めて、
この分野の現状について解説したい。
- 2010/12/7 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
永幡幸生(大阪大学基礎工学研究科)
Tagged particle dynamics of stochastic ranking process
- 2010/12/7 低次元トポロジーセミナー 10;00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
Jeon Woojin(KIAS)
Primivite stability and Bowditch's Q-condition
- 2010/12/8 トポロジーセミナー 13:30--15:00 数学教室 大セミナー室(E301)
佐藤 正寿(阪大理・学振PD)
On the third rational cohomology group of the Torelli group
- 2010/12/10 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
三沢 正史 氏(熊本大学)
ある退化特異放物型方程式系に対するヘルダー評価について
We revisit the regularity problem for the evolutional
$p-$Laplacian systems. In this talk we will study a H\"older regualrity of solutions. The H\"older regularity obtained
may be regarded as a natural extension of classical results
in the linear case $p = 2$. The proof given here is based on
the so-called Campanato estimates. By appropriately arranging
two scale parameters such as sizes of a local parabolic cylinder
and gradient of a solution, the estimates needed for proof seems
to be more refined and accessible than the original one due to
Dibenedetto.
- 2010/12/13 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
河澄 響矢 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
The logarithms of Dehn twists
境界成分1のコンパクト曲面の基本群の群環上で、
デーン・ツイストを明示的に記述する。
これはピカール・レフシェッツ公式の一般化になっている。
証明には、ゴールドマン・リー代数が自由群の
マグナス展開を通して形式的シンプレクティック幾何に
直接的に関係することを用いる。
本講演は久野雄介氏(広島大・学振 PD)との共同研究に基づく。
- 2010/12/17 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
馬昭平(Tokyo Univ.)
(Uni)rationality of the moduli spaces of 2-elementary K3 surfaces
- 2010/12/17 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
Joseph H. Silverman(Brown University)
Lehmer's Conjecture for Polynomials Satisfying a Congruence Condition and an Elliptic Analogue
Lehmer's conjecture says that if b is an algebraic number that is not a root of unity, then its height satisfies h(b) > C/D(b), where D(b) = [Q(b):Q] is the degree of b and C is an absolute constant. Height estimates of this sort have many applications. Borwein, Dobrowolski and Mossinghoff have shown that if the minimal polynomial F(X) of b is congruent modulo m to a polynomial of the form 1+X+X^2+...+X^D, then b satisfies a Lehmer bound of the form h(b) > (C log m)/D(b). In this talk I will discuss a generalization of this result, as well as an analogous estimate for elliptic curves with an appropriately reformulated congruence condition.
- 2010/12/17 古典解析セミナー 16:00--18:00 理学部 b棟 b447
渡辺文彦(北見工業大)
複素トーラス上の定積分とツイストサイクルの構成
超幾何積分の一般化の新たな方向性として複素トーラス上の定積分論を
数年前から提案している.このことについては基礎的な定理をいろいろと
整備している段階であり進行中であるが,このセミナーでは2次元複素
トーラス上の定積分の研究とくにツイストサイクルの構成について
最近得られた結果を報告する.
- 2010/12/20 幾何セミナー 1:00--2:30 数学教室 大セミナー室(E301)
山田拓身(島根大学)
コンパクト擬ケーラー多様体の正則ベクトル場について Holomorphic vector fields on compact pseudo-Kaehler manifolds
ケーラー多様体の自然な一般化の一つとして擬ケーラー多様体がある。
擬ケーラー多様体は複素構造をもつ擬リーマン多様体の一種であるから、
正則ベクトル場、キリングベクトル場、およびLevi-Civita接続が考えられる。
また形式的にワイツエンベツク公式が得られる。これらをもちいてケーラー
多様体の場合と同様に正則ベクトル場の零点とドルボーコホモロジー群との
関係等がわかる。本講演ではその一部を紹介する。
- 2010/12/24 代数幾何・複素幾何セミナー 13:00--14:30 理学部 b棟 b342/346時間がいつもと異なりますのでご注意下さい
川谷康太郎(Osaka Univ.)
K3曲面上の安定性条件と導来圏の自己同値群
- 2011/1/7 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
坂井秀隆(Tokyo Univ.)
パンルヴェ方程式とその周辺
- 2011/1/7 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
大浦学(高知大学理学部)
モジュラー形式と不変式論に関連する話題
モジュラー形式と符号理論との関連が Broue-Enguehard に
よって指摘されて、おおよそ40年たちました。
この理論はモジュラー形式に関して言うと一変数の場合で、
多変数化は1990年前後になされます。この講演では、
モジュラー形式の理論を符号理論的、不変式論的観点から
眺めてみたいと思います。
- 2011/1/18 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 大セミナー室(E301)
Azmi MAKHLOUF(大阪大学 金融・保険教育研究センター)
L2-time regularity of BSDE with irregular terminal functions
After introducing BSDE, we study the L2-time regularity
modulus of the Z-component of a Markovian BSDE with
Lipschitz-continuous coefficients, but with irregular terminalfunction g. This modulus is linked to the
approximation error of the Euler scheme. We show, in an
optimal way, that the order of convergence is explicitly
connected to the fractional regularity of g.
If time permits, we present another application, where we
analyze the tracking error related to the Delta-Gamma hedging strategy. The fractional regularity of the payoff function plays
a crucial role in the choice of the trading dates, in order to
achieve optimal rates of convergence.
- 2011/1/19 古典解析セミナー 16:00-- 理学部B棟 b447
佐々木真二(京大数理研)
完全 WKB 解析と Stokes グラフについて
まず2階線形常微分方程式の完全 WKB 解析について
入門的な話をする。古典的な例として、
Airy 方程式と Weber 方程式を少し詳しくみたい。
次に、Stokes グラフの性質について話す。
特に Fuchs 型の場合、generic な仮定を満たす方程式の
Stokes グラフと球面の三角形分割が一対一に対応する。
- 2011/1/21 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
永安 聖 氏(兵庫県立大学大学院物質理学研究科)
不連続係数を持つ放物型方程式の解の勾配評価
介在物を含む媒体を扱う際には, しばしば不連続係数,
特に区分的に滑らかな係数を持つ偏微分方程式が現れる.
Li-Vogelius (2000)やLi-Nirenberg (2003)は, そのような
区分的に滑らかな係数を持つ楕円型方程式(系)の解は
Lipschitz連続性を持つこと, そしてその際, 複数の介在物が
あったとしても, その介在物同士の距離には依らない評価が
得られることを示した. この講演では, Li-VogeliusやLi-Nirenbergの
結果の放物型方程式版を紹介する. 即ち, 区分的に滑らかな
係数を持つ放物型方程式の解がLipschitz連続性を持つことを示す.
尚, 本研究は樊継山氏(南京林業大学), 金敬善氏(梨花女子大学),
中村玄氏(北海道大学)との共同研究である.
- 2011/1/25 低次元トポロジーセミナー 10:00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
Athanase Papadopoulos(IRMA, Universite de Strasbourg)
The complex of domains of a surface
The complex of domains associated to a surface is a flag simplicial
complex whose vertices are isotopy classes of certain sub-surfaces,
called domains, and where a set of vertices form a $k$-simplex if
these vertices can be represented by $k+1$ disjoint pairwise
non-isotopic domains.
I shall describe this complex, show how can reconstruct topological
objects on the surface from combinatorial data in this complex, and I
shall describe the automorphism group of this complex. (Joint work
with John McCarthy.)
- 2011/1/28 微分方程式セミナー 14:30--15:00 数学教室 大セミナー室(E301)
Xiangdi HUANG 氏(University of Science and Technology of China)
Serrin Type's criterion for the compressible Navier-Stokes equations
- 2011/1/28 微分方程式セミナー 16:10--17:40 数学教室 大セミナー室(E301)
水町 徹 氏(九州大学大学院数理学研究院)
B\''{a}cklund transformation and L^2-stability of NLS solitons
非線形シュレディンガー方程式のground stateは,
ハミルトニアンと$L^2$保存則を用いて変分的に特徴づけられ,
非線形項による凝集効果があまり強くない場合はエネルギー空間$H^1$において
安定になることが知られている.本講演では,完全可積分系である一次元3次の
非線形シュレディンガー方程式のground stateの$L^2$-安定性について述べる.
本研究はDmitry Pelinovsky 氏(McMaster University, カナダ)との共同研究で
ある.
- 2011/1/28 整数論保型形式セミナー 16:30--17:30 数学教室 新セミナー室(D505)
今井直毅(京大数理研)
有限平坦モデルのモジュライ空間の次元
標数pの有限体上のp進表現が与えられたとき,
p進体上の対応するエタール群スキームを一般ファイバーに持つような
整数環上の有限平坦群スキームを,
有限平坦モデルという.
有限平坦モデルはp進体の分岐が小さいときは,
高々一つであるが,
一般には多くの有限平坦モデルが存在する.
この講演では,分岐が大きい場合に
有限平坦モデルのモジュライ空間の次元がどうなるかについて論じる.
- 2011/1/31 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
磯崎泰樹(大阪大学大学院理学研究科)
1/cosh(x)の部分分数展開の確率論的解釈と拡張
ブラウン運動の初到達時刻・場所の確率分布は、
初等関数との関連があることが、よく知られている。
そこではラプラス変換・フーリエ変換により得られる
関数の等式が、強マルコフ性の見地から解釈される。
ブラウン運動を別のマルコフ過程に取り替えた場合でも、
いくつかの等式は同様に成立する。
本講演では、安定レヴィ過程を扱い、初到達時刻・場所の
分布の性質を調べる。
- 2011/1/31 幾何セミナー 2:50--4:20 数学教室 大セミナー室(E301)
宮地秀樹 (大阪大学 理学研究科)
タイヒミュラー距離に関するコンパクト化について(いつもと時間が違いますのでご注意下さい)
- 2011/2/8 低次元トポロジーセミナー 10:00--12:00 数学教室 新セミナー室(D505)
廣瀬進(佐賀大理工)
向き付け不可能閉曲面のレベル 2 写像類群の生成系について
向き付け不可能閉曲面の写像類群の内 Z_2 係数の1次元ホモロジー群への作用が
自明であるもののなす部分群,すなわちレベル 2 写像類群が,
Y-同相写像により生成されることが,近年,Blazej Szepietowski によって示された.
この講演では,この結果の別証明を紹介し,
さらに,4次元球面に埋め込まれた向き付け不可能閉曲面との関わり,
具体的な生成系を求める試みについて講演する.
- 2011/2/8 確率論セミナー 16:30--18:00 数学教室 新セミナー室(D505)
塩沢 裕一(岡山大学)
On an explosion of jump-type symmetric Dirichlet forms on $R^d$
- 2011/2/14 談話会 16:30--17:30 理学部 b棟 b342/346
田島慎一(筑波大学数理物質科学研究科)
レゾルベントの代数解析と行列のexactなスペクトル分解計算
本講演では、整数もしくは有理数を成分にもつような正方行列に対する
固有ベクトル空間の構造解析を行うための新たな枠組みを提案する。
最小消去多項式の概念とネター作用素と呼ばれる微分作用素を用いる
ことでレゾルベントの特異性を解析できる。この結果とスペクトル理論
を組み合わせることにより、スペクトル分解行列等をexactに求めること
が可能となる。この方法により、固有ベクトルやスペクトル分解行列を
固有値の多項式としてExactに表現する式を求めるアルゴリズムを導出
した。これらのアルゴリズムは既存の計算法とは比較にならないほど
計算効率がよい。さらに、これらの計算アルゴリズムは並列化する
ことが可能である。
計算アルゴリズムの導出の背景にある数学について紹介したい。
- 2011/2/18 微分方程式セミナー 15:30--17:00 数学教室 大セミナー室(E301)
Giovanni Pisante (Second University of Naples)
A shape optimization problem related to the twisted Dirichlet eigenvalue
Aim of the talk is to discuss a recent work on a generalization of the functional defining the first twisted eigenvalue.
Indeed we look at the set functional L(A) defined minimizing on the set A, under a suitable volume constraint, a generalized Reyleigh quotient involving Lebesgue norms of order p and q.
Under suitable conditions on p and q that ensure the existence of a minimizer function, we investigate the validity of an isoperimetric type inequality of the Reyleigh-Faber-Krahn type.
More precisely, using an alternative approach, we extend a result proved by P. Freitas and A. Henrot in the case p=q=2, proving that L(A) is minimized by the union of two equal balls.
This is a joint work with G. Croce and A. Henrot.
- 2011/3/25 代数幾何・複素幾何セミナー 14:40--16:10 理学部 b棟 b342/346
巴山竜来(台湾大学)
A distance estimate between period maps and the nilpotent orbits (joint work with Gregory Pearlstein)
概要:穴あき円盤上の純な偏極Hodge構造の変形が与えられたとき、その周期写像はべき零軌道によって近似できることがSchmidによって知られています。Pearlsteinは、底空間が1次元の場合について、これを混合Hodge構造の許容(admissible)変動の場合へと一般化しました。これをさらに高次元の場合に一般化することを目指した講演者達の最近の研究について紹介します。ここでは加藤・中山・臼井によるSL(2)軌道定理を使って、周期写像とベキ零軌道の距離の評価を与えます。